長めの独り言置き場

家庭用ゲームの話題中心に、書きたいこと書いていきます。

シリーズ未経験だけどバイオハザードRE:2が最高だったので語りたい

f:id:omemehikaru:20190212153834j:plain

1月25日 『バイオハザードRE:2』発売。 同日プレイ開始。

1月29日 2ndシナリオ(2周目)クリアにつき真ED到達。

2月6日 全87項目のレコード達成。プラチナトロフィー獲得。

 

 ものぐさゆえ、プラチナトロフィーを獲得してから4日も置いて感想を書き始めてしまっているが、シリーズ最初期作品のフルリメイクである『バイオハザードRE:2』(以下、バイオRE:2)のシリーズ未経験者によるまとまった感想というのは、あまり出てきていないような気がするので、需要があるものと思い、モチベーションを上げて書いていくとする。なお、最低限のネタバレへの配慮はするつもりだが、内容を一切伏せた状態でプレイしたい場合は、ネタバレ無しを謳うレビューなどを読むことを推奨する。ここでは、感じたことを感じたままにアウトプットしたいと思っている。

 今回の記事は、少しばかり雑な感じで書いていく。何を以って「雑」なのかと言うと、バイオRE:2は、プレイしていてとにかく「ここがイイ!」という部分が多く、私は、プレイしているときもしていないときも、気付き次第それらを一つ一つメモに書き留めていた。そのメモの内容に加筆しつつ、そのまま載せていこうと思う。反対に、ダメな部分はほぼ無い。言ってしまうが、完璧な作品だ。マンガ形式でお気に入りな部分を再現していくというのも面白そうなのだが、残念ながら絵心を持ち合わせていないので、文章で伝わるよう努める。

 

目次

 

作品の概要とプレイに至る経緯

 では、まず初めに『バイオハザードRE:2』に関する概要と、シリーズ未経験者である私が興味を持った経緯を書いておこう。バイオハザードシリーズ(以下、バイオシリーズ)に関しては、多くの人には紹介するまでもないと思うが、CAPCOMが誇る1996年から続く歴史あるサバイバルホラーゲームシリーズであり、国産のビデオゲーム発のIPとして、ワールドワイドで認知されることに最も成功している一角と言えるだろう。

 CAPCOMは、前作『バイオハザード7』に引き続き、今作『バイオハザードRE:2』の開発にあたって、自社製のハイエンド向けゲーム開発エンジンであるRE ENGINEを使用している。RE ENGINEという名前の「RE」の部分は、幾つかの意味がかかっていそうだが、その内の一つは、バイオシリーズの英語圏向けシリーズ名である『Resident Evil』の頭文字からきていると思われる。

 国内向け『バイオハザード7』の副題がレジデント・イービルであることや、『バイオハザードRE:2』で「RE」を強調していることからも、CAPCOMが、バイオハザードもといResident Evilシリーズを自社製ハイエンド向けビデオゲーム製品の中核に据えていることがうかがえる。CAPCOMといえば、昨年は『モンスターハンター:ワールド』によって、ワールドワイドでの目覚ましい成功を収めているが、今年の『バイオハザードRE:2』も負けずと劣らない程に気合いが入っているのは、私自身がプレイを通して確認している。『バイオハザードRE:2』は、今世代において最高水準のリッチなクオリティでありながら、ゲームとしての完成度も素晴らしい仕上がりになっている。

 私は、1998年にPlayStation向けに発売されたオリジナルの『バイオハザード2』(以下、バイオ2)をプレイしていないので、バイオRE:2のゲームとしての完成度の高さのどこまでがオリジナルによる部分なのかは計りかねるけれど、バイオRE:2のゲームプレイは良い意味で古典的であり、それが21年前の古典と言える作品のリメイクである為だということは、少なくとも明白であるように思う。

 CAPCOMは、バイオシリーズ作品のパッケージに毎回「サバイバルホラー」と銘打っている。しかし、近代のバイオシリーズ作品においては、ジワジワと迫り来るゾンビが登場しなかったり、強力な近接攻撃によってアクションゲームとしての爽快感が向上した一方で、敵の脅威が薄れてしまったりと、「元のサバイバルホラーとしての思想がブレてしまっているのではないか?」という少なからぬシリーズファンからの指摘に晒されているのは、私も把握していた。

 バイオRE:2では、全編に渡ってゾンビが主な脅威であり、近接攻撃の類は、耐久値が有限であるナイフによる切りつけのアクション1種のみとなる。ナイフはサブウェポンという分類であり、サブウェポンは、ゾンビの組み付きやボスの掴み攻撃へのカウンターとしての用途があるが、サブウェポンについては後に詳しく書こうと思う。そのナイフを含め、ハンドガン、ハンドガンの弾と、ゾンビに対抗する為の武器も全て、ゲーム開始時点では僅か8枠しかないインベントリ(ゲームの進行に伴い、バックパックを手に入れることで2枠ずつ拡張していく)を圧迫するアイテムである。更に、回復アイテムまで欲張って持ち運ぼうものなら、今挙げたアイテムだけでも、インベントリの半分を埋めてしまうことになり、攻略の鍵となるキーアイテムの回収はスムーズには進行せず、ジリ貧に陥る緊張感が強まっていくのである。

 斯くして、バイオハザードが世の中に生まれたとき、バイオハザードサバイバルホラーたらしめていた要素は再び見直され、原点に立ち返ることとなったわけだ。原点から遠ざかっていた頃のバイオハザードの在り方を支持するシリーズファンだっているだろうし、その声を差し置いてにわかの私が「これがバイオハザードのあるべき姿」と言ったりするような気はないが、バイオRE:2がサバイバルホラーゲームとしてとてつもなく美しいことは確実であり、バイオRE:2の開発者たちも、2019年現在において、1998年と同様にサバイバルホラーゲームの思想がこれ程までに過不足なく成り立った事実から、今後のバイオシリーズの展開にあたっての天啓を得られているのではないかと思う。

 私が、バイオRE:2に興味を惹かれ、購入することに決めた理由は、製品版の発売日直前に配信された1-Shot Demoと銘打たれた体験版をプレイしたことである。モダンで快適なゲームプレイ、過不足ないゲームシステム、美しいゲームバランスを、僅か30分のプレイ時間でも充分に感じ取ることができた。それ以外の理由としては、2018年のE3で発表及びデモが出展された際のメディアによるプレイリポートが好感触であることを報せていたことだろう。プレイヤーキャラクターの機動性が良い具合に制限されているというリポートが、心に引っかかったことを覚えている。

 それでは、傑作『バイオハザードRE:2』の "お気に入り" な部分を書いていくとする。

 

シンプルなUIと便利なマップ

 バイオRE:2のUIは、とてもシンプルだ。メニューを開くと3つのタブがある。1つめはインベントリ(持ち物画面)。初期状態だと、マスが8つ並んでいる。基本的にはアイテム1つにつき1マスを占め、強力な武器や一部のキーアイテムは2マスを占める。銃弾、手榴弾、閃光手榴弾に限り、同一のアイテムが1つのマスにまとめられる。回復アイテムはまとめられない辺りが絶妙なゲームバランスだ。

 回復アイテムに言及したので、付け加えて話そう。プレイヤーキャラクターの体力の状態は、FINE>CAUTION>DANGERの3段階で、言ってみればスーパーマリオギャラクシーでマリオが3回連続でダメージを受けたらミスになるのと同じだ。実にシンプルである。しかし、バイオRE:2が面白いのはダメージを受ける条件。ゾンビは、打撃攻撃などはしてこずに、一度組み付いてからガブッと噛み付くことでダメージを与えてくる。組み付かれたときにサブウェポンを装備していれば被ダメを免れることができるので、銃が弾切れだったりする場合にはあえて組み付かれ、サブウェポンを消費して組み付きから逃れることで、その場をやり過ごしたりということもある。

 2つめのタブはマップ。全体的にプレイヤーを甘やかす気のない本作において、マップはとことんプレイヤーの味方であると言っていい。探索して取得する必要があるが、どのマップも容易且つ安全に取得できるような場所に置いてある。意識せずに近くを通過するくらいであっても、一度接近したアイテムは律儀にマップにアイコンが示され、そういった未取得のアイテムがあったり、解いていないギミックがある探索未完了エリアは赤く、探索が完了したエリアは青く表示される。このマップの無駄なく親切な仕様のおかげで、ゲームプレイの主要部分にあたる探索が非常に快適になっている。

 3つめのタブは、ギミックのヒントになるファイルなどが保管されるタブ。エリア内で一度読んだファイルは自動的に回収され、このタブでいつでも読み返すことができる。あとは特筆すべきことはない。紙を触ってる感じのSEが気持ちいい。

 

全てのアイテムを「調べる」ことができる

 バイオRE:2に登場する全てのアイテムは、「調べる」ことができる。インベントリを開き、アイテムにカーソルを合わせて決定ボタンを押すと表示されるコマンドの先頭にある「調べる」を選択すると、そのアイテムのハイクオリティな3Dモデルを左右のアナログスティックでグリグリと回したり、ズームイン/アウトしながら観察することができるのだ。スカイリムとかでできるやつ。できたっけ?確かできた。こういうの、ゲームのリアリズムを押し上げる要素でしかないから肯定以外することないと思う。

 しかも、単にフィギュアのように鑑賞できてエモいねとかそれだけの話ではない。一部のアイテムには、「調べる」による3Dモデルの観察からのインタラクションがある。裏側にあるボタンを見つけて押すと、分離して別のアイテムになったり、車のキーの解錠ボタンを屋内で押しても何も起こらないけど、駐車場にいるときに押すと、どこからか解錠された音が響き渡ったり。特にイイのが箱系のアイテムだ。「調べる」からグリグリと回し始めると、コトコトッと箱の中に何かが入っている音がするのである。そして、箱を開けると中から別のアイテムが。回りくどいと言えば回りくどいけれど、それ程しつこく出てくるものでもないし、めちゃくちゃクールだと思った。

 

 敵の亡骸がその場に残る

 倒した敵の亡骸が消滅するのか、その場に残るのかというのは、他のアクションゲームでも話題に挙がることがあるだろう。多くの場合は、亡骸を消滅させるのはゲームの処理を軽減するためだと思われるので、単に、それぞれの作品の技術的水準の問題に帰結すると思うが、バイオRE:2において亡骸が残るのは、RE ENGINEの技術的水準が高いというだけのことではない。ゲーム的に大きな意味がある。バイオRE:2のゾンビたちは、「死んだフリ」をしてプレイヤーの裏をかいてくる。これは、何よりもゾンビだからこそ有効な手口だ。体中が損傷及び腐敗しており、到底生きている人間の姿ではないゾンビは、もとより視覚的に生死が不明瞭であるため、亡骸が残ることは、目を離した隙に再び起き上がり、背後から忍び寄ってくるかもしれないというプレッシャーをプレイヤーに与える。

 バイオRE:2のゾンビは大変しぶとい。華麗なヘッドショットを決めれば一発で倒せるだなんて、他のFPSやTPSでの常識は通用しない。ごく稀にクリティカルエフェクトが発生し、一発で倒せることもあるが、本当に "ごく稀" だ。けれど、しぶとくて生死が不明瞭なだけで、死ぬときはちゃんと死んでくれる。完全に死んだことを確認したゾンビがランダムで生き返ったりだとか、そういう理不尽なことは起こらない。動かなくなったゾンビが再び動き出すのは、プレイヤーの詰めが甘かったとき。厳しくもありながら、しょうもない嘘をつかずにまっすぐ向き合ってくれる正直なゲームなのである。

 また、生きている状態の敵も死んでいる状態の敵も、全てがその場に残るということに伴い、敵が湧く(リスポーンする)という現象は起こらない。この点を含めても、リアリズムに則っている仕様として気に入っているのだが、「開いている窓から屋外にいるゾンビが侵入してくる」という形で、一度は全ての敵を排除したエリアに、新たに敵が現れることがある。そうした事態を未然に防ぐには、とあるアイテムが必要になってくるのだけど…それをいちいち説明してこないのもイイ。いや、説明されたのかもしれない。でも説明してたとしても物凄くさり気ない感じの説明。チュートリアルがウザくない。イイ。

 

ゾンビがドアを開けて入ってくる

 サバイバル "ホラー" ゲームであるバイオRE:2をプレイしているとき、私には緊張感はあっても恐怖感はほとんど無かった。単純に、個人的にはホラーというと心霊の方に反応するタイプなので、自我を失ったクリーチャーと化したゾンビをあまり不気味には感じない。ゾンビ映画を見たときにも、感じるのは絶望や悲しみの方。絶望や悲しみでいうと、ゲーム作品で巧かったのはラストオブアスだったりするが、それは置いといて。ホラーに焦点を当てると、ゾンビをやり過ごして扉を挟んだ別の部屋に移動したとき、ゾンビが扉を何度か叩いて侵入してくるときには不気味さを感じた。サウンドのクオリティが高品質であることも大いに関係しているだろう。ドアを、バンッ…バンッ…と叩く音に「お前を追っている」という脅威の生々しさが宿っている。ゾンビ自体は視界に入っていないからこそ、ドアを叩いている音だけが想像を掻き立てるこの演出は、ホラーを分かっているな…と思う。

 

ゾンビがプレイヤーに与える作用のバリエーション

 引き続きゾンビの話。バイオRE:2において、全編に渡って主な脅威となるゾンビとの戦闘は、単調にならないよう有機的に設計されている。ゾンビの四肢にはそれぞれ独立したダメージ判定があり、破壊することが可能だ。腕を壊せば組み付かれる危険性を下げることができ、足を壊せば這って移動するようになるため、やり過ごしやすくなる。ハンドガンのような威力の低い銃でヘッドショットを決めても即死は期待できないとなると、戦略的に立ち回るには四肢への攻撃が非常に重要になってくる。

 ゾンビは打撃攻撃などはせずに、組み付いてから噛み付くことでダメージを与えてくるので、あえて組み付かれるという立ち回りがあることを上で述べた。ところが、複数のゾンビが固まっているときにその選択をするのは危険だ。1体のゾンビが組み付いてきたとき、近くにいるもう1体のゾンビが加わってくることがあり、そうなると力ずくで押し倒されてしまいカウンターすることができなくなる上、2体に同時に噛みつかれることになるため、2回分のダメージを受けてしまう。調子に乗ってCAUTION状態のまま回復をおざなりにしていたなら、そのままゲームオーバーだ。

 ショットガンはハンドガンよりは威力が高く、標的との距離が近い場合には、ヘッドショットによる即死も期待できる。しかし、即死したゾンビはプレイヤーの方に倒れ込んできて、一瞬、行動の自由を奪われるのだ。ゲーム的に意味があって面白いのは勿論だし、ゾンビが登場する作品のディテールとして素晴らしい。こういった場面は、ゾンビ映画でもよく見かけるシーンだろう。ゾンビの表現にこだわっていなければ、こういった演出は出てこない。

 

リッカーとタイラント

 数の多いザコ敵であるゾンビに対し、強モブに位置づくリッカー。この記事のアイキャッチ画像も、リッカーの姿を収めたスクショだ。凄まじい容貌である。リッカーは、本作における緊張感のピークとでも言おうか。視覚が退化しているという設定なので、遭遇しただけではこちらには気付かず、発砲するか、走るか、至近距離まで接近することで、耳をつんざく絶叫と共に物凄い速さで駆け出し、鋭い爪を振り下ろして襲いかかってくる。特徴からして、適切な対処法はやり過ごすことに限ると思うのだけど、Twitterにてツイート検索バーに「リッカー」と入力したら、「強い」などとサジェストが出てきたときには、倒そうとするプレイヤーがいることに正気を疑ったものだ。

 私はもう…少しでも声を漏らせば、自分が死ぬくらいの気持ちでリッカーの横を通り過ぎていた。気付かれたときの叫び声と焦燥感に満ち満ちたBGMには、呼吸の仕方を一瞬忘れさせられる。私にとって、「死」の匂いを感じさせる作品は、非常に強く心に刻まれる。『DARK SOULS』と『ピクミン2』がそうだ。ここまでもバイオRE:2の素晴らしさを語ってきたけれど、この2作と同じ匂いを放つとなると、私が本作を傑作とするには決定的である。

 タイラントは、特定のフラグを回収すると、のっしのっしと大きな足音をたてながら、プレイヤーをどこまでも追跡してくる黒いコートを着た大男。倒すことは不可能で、近くまで来ると殴ってくるので逃げ続けなければならない。Twitterでよく出回っているバイオRE:2の動画はタイラント関連のものが多い印象がある。そういったものを見かけていれば、未プレイの人でもタイラントのイメージは大体掴めているかもしれない。

 そういった動画の中には、タイラントが入ってこられないセーフエリアからタイラントを茶化すように遊んでいる動画がある。タイラントは、ゲーム中で最も厄介な敵なのは間違いないが、タイラントに対処する上で、プレイヤーに有利な仕様がそれなりにあるのが、本作のバランス調整が非常に優れているところだ。1つは、(なぜか)タイラントが入ってこられないセーフエリア。そして、メニューを開いたり、エリア内のギミックにインタラクトしている最中に時間が止まる仕様。「タイラントがそこまで迫ってるのに、何ひと息ついてパズル解いてんねん」と、思わずツッコみたくなってしまう。

 ゲームの仕様を利用するこのズルい感じは、とても昔のゲームっぽくて好きだ。こういうのは、リアリズムを追究して切り捨てたりしなくともよい「ゲームくささ」、「ゲーム的な嘘」だと思う。世界中のゲームファンが、かつてそうしていたように、再び無邪気にキャーキャーとはしゃぎながらタイラントと戯れているのは、なんとも微笑ましいことである。プレイヤーがゲームを楽しむ為の巧みな「嘘」をも含め、バイオRE:2がただ良いゲームでしかないからこそ、タイラントは人気者になっているのだと思う。

 

サブウェポンと豆腐Survivor

 サブウェポンに該当するアイテムは、ナイフ、手榴弾、閃光手榴弾の3種。サブウェポンを装備していると、ゾンビに組み付かれたときやボスに掴まれたときにカウンター攻撃を発動し、装備していたサブウェポンを消費する代わりに被ダメを免れることができる。ナイフの場合は耐久値が残っていれば、カウンター攻撃を受けナイフが刺さった状態の敵を倒すと、回収し再利用することができる。但し、ゾンビの組み付きに関しては、カウンター攻撃を発動できるのは向かい合った状態で組み付かれたときに限られる。

 本編においては、何だかんだ要所要所で強力な武器を取得できるので、普通に攻略している場合は、それらの武器を主力として立ち回り、サブウェポンにがっつりと頼る必要に迫られるような場面は少なくなる。けれども、サブウェポンについて上で解説した内容を踏まえると、戦略的に運用できるポテンシャルがある。そのポテンシャルにスポットライトを当てているのが、本編クリア後に追加されるおまけモードである豆腐Survivorだ。

 豆腐とかいう場違いな単語が出てくる時点で、ジョークコンテンツであることは推察できるだろう。その通りであり、本編クリア後にまず追加されるのは4th Survivorというモードで、主人公はハンクという普通の人間だ。4th Survivorをクリアすることで出現する豆腐Survivorは、ハンクのキャラモデルが(なぜか)RE ENGINEによって質感がリッチに表現された木綿豆腐となり、所持しているアイテムもハンクとは別になっている。そのアイテムが、インベントリいっぱいのナイフというわけだ。

 豆腐Survivorを開始したプレイヤーはまず「えっ、ゾンビ倒せなくね?」と思うことだろう。しかし、豆腐Survivorは4th Survivorとルールは同じであり、クリア条件はゴール地点に生きて辿り着くこと。敵を1体も倒さずとも、クリア条件を満たすことは不可能ではない。本作における「サバイバル」の定義を効率的に生き残ることとしたなら、豆腐Survivorはまさしくそれを体現している。そして、豆腐Survivorをクリアすると出現するこんにゃくだのプリンだのその他諸々の加工食品たちがハンクと置き換えられるモードも、例によって所持しているアイテムがそれぞれ異なっており、それらを全てクリアする頃には、やがて挑むことになる本編のタイムアタックの予習がばっちり完了するのだ。

 

やり込みプレイが楽しい

 「やり込みプレイ」という概念はゲームファンにとって普遍的なものだが、多様化し、複雑化し、大規模化した今日のビデオゲームは、「やり込みプレイ」という概念の認知をゲームファンに与えた頃のビデオゲームの姿とは、そっくりそのままには合致しない事実がある。それが嘆かわしいことであるのか、然るべき発展の結果であるのかはさておき。古典である『バイオハザード2』が現代に生まれ変わった姿である『バイオハザードRE:2』には、「やり込みプレイ」という概念が生まれた頃に親しい精神が息づいている。

 バイオRE:2にはゲーム内レコードというものがあり、簡単に言えば、ゲーム内にトロフィーや実績があるような感じだ。トロフィーや実績と違うのは、純粋にゲームに組み込まれているからこそできる報酬の要素。報酬の内容は、コンセプトアート、キャラクターやクリーチャーの3Dモデルを鑑賞できるフィギュア、本編で使用できるボーナス武器。多くのプレイヤーは、最も達成難度が高いレコードの報酬である無限ロケランと無限ミニガンというご褒美に最終的にありつくと思われる。そんなものを使えば言うまでもなくゲームバランスは崩壊するので、本来のゲーム性は彼方へと消え去るが、それまでルールに従って頑張ってきたからこそ、最後の最後にヒャッハーして暴れる解放感は極上なのである。美学だ。これは。

 それから、ここまで称賛と肯定しかしてこなかったが、バイオRE:2のネガティブに受け取られることもある部分に、ここで言及しておこう。レオンとクレアという2人の主人公それぞれのシナリオをクリアすることで、真のEDに到達することができるというゲーム内容について、オリジナルにおいてはザッピングシステムという要素があったのに対し、RE:2ではそのシステムが採用されていなかったため、1stシナリオと2ndシナリオをそれぞれプレイする必然性が薄まっているという指摘がある。

 そこに関しては、確かにツッコミどころであるようには思う。シナリオが違うので登場するサブキャラクターが違ったり、レオン編1st、クレア編2nd、クレア編1st、レオン編2ndという4つのシナリオごとに、それぞれ行けるエリアと行けないエリアがあったり、一部のボス戦が異なっていたり…その他にも細かい差異があって、差異のつけ方も巧みなので、個人的には飽きるということは全くなかったが、あまり自然ではない形で被っているところは被っており、完全に別のシナリオではなく、良く言えばパラレルな内容になっている。

 シナリオ面の必然性の薄さについては同意するところはあるが、シナリオに限らず、やり込みプレイも含めて、全体的に周回プレイを前提にした設計を意図しているという認識が落とし所だと思っている。全てのレコードの達成を目指すとなると、2周や3周どころではない回数の周回プレイを行うことになる。最後の戦いは、何度プレイしても気持ちが昂ぶったし、戦いが終わり、シン…と静まり返った中で表示されるリザルトが、目的のクリアランクに達していたときの達成感は、嬉し泣きしてしまいそうな程に心地いいものだった。

 

酔わない

 最後に、これもさり気なく書いとこう…。個人差のあることだから評価の指標にするには適切ではないのだけど、一瞬たりとも酔わなかったことにかなりの好感を抱いている。同じ肩越し視点のTPSであるラスアスは物凄く酔ったのに。自分が3D酔いするときのメカニズムは本当に分からないんだけど、なんか日本製のゲームは私みたいなタイプが酔わないように作ってくれている信頼感がある。この信頼感、今後も保たせてくれたら個人的に嬉しい。